Windowsタブレット版の特徴と制約

 

 

この章ではWindowsタブレット版においてのBiz/Browserとしての仕組みの違いについて記載します。

 

Windowsタブレット版全般に関する違い

 

○Windowsタブレット版のCRS実行エンジンはBiz/Browser Vと同等のものを使用しています。
また、内部文字コードにはUnicodeが採用されています。

 

○メソッド名や変数名、外部リソース定数等の識別子の解決を行う際、全角文字に対しても大文字小文字を区別せずに扱かわれることがあります。
全角英字やギリシャ文字等を用いた識別子を使用する場合はご注意ください。

 

○使用可能な改行コードは、「\r\n」となります。

 

○日本円の通貨記号は、全角の「¥」が使用されます。

 

○プラットフォームやアーキテクチャの違いにより、浮動小数点演算の結果がわずかに異なる場合があります。

 

○セキュリティレベルというセキュリティ制御に関する概念を搭載しています。 規則についてはセキュリティレベルについてを参照してください。

 

○Biz/Browser VやBiz/Browser Mobile、Biz/Browser SmartDeviceの他のプラットフォームとはGUIの外観がそれぞれと異なる場合があります。

 

○タブレットのタッチ操作での利用を重視し、Windows標準とは異なる表示、操作感となっていることがあります。

 

○ポップアップメニューはPC版同様、クリック(タップ)位置に階層構造で表示されます。

 

○iOS版やAndroid版と異なり、スクロールバーが存在するため実表示サイズが変動する場合があります。

 

○Windowsタブレット版では独自のソフトウェアキーボード(SIP)が搭載されています。
 iOSやAndroidのようなOSの入力機構と一体化したものと異なり、ハードウェアキーボードのエミュレータとして
 実装されています。よってIMEや入力制御などはハードウェアキーボード使用時と同様に動作します。

 

○端末やOSに依存する動作に対してはBiz/Browserはその挙動に従います。そのため一部の機能については結果・挙動に差異が出る可能性があります。

 

表示文字列と"&"記号

 

Windowsタブレット版では画面に表示する文字を設定するプロパティ(Title、Valueプロパティなど)では、"&"記号がアンダーラインを表す場合があります。

 

設定する文字列内に"&"を含む場合に、"&"は表示されず次の文字にアンダーラインが付加されます。

例えばTitleプロパティでは、

 

Title = "印刷(&P)";

 

とすると、表示される文字は

印刷(P)

 

のようにPにアンダーラインが付加されます。

 

"&"記号自体を表示させたい場合は、"&&"とします。

 

Title = "A&&B" /* A&Bと表示される */

 

Windowsではアンダーラインの付いた文字をAltキーと組み合わせて押すことでショートカット機能のように動作しますが、Biz/Browserではこの機能が自動的に付加されることはありません。

 

UserAgentの違い

 

Webサーバへのリクエスト時のUserAgentは以下の値になります。

UserAgentにて処理を分岐している場合ご注意ください。

 

Biz/Browser SmartDevice(Windows)

 

SYSオブジェクト

 

SYS.CLIENTの値は以下になります。

 

Biz/Browser SmartDevice(Windows)

 

プラットフォーム定数

 

プラットフォームごとに分岐し、Windowsタブレット版での実行時のみ処理させて他のプラットフォームでの実行時には無視させる分岐処理ができる定数が用意されています。
使用可能な定数は以下になります。

 

・$WINDOWS

Windowsタブレット版でのみ「1」となります。

・$AI

Biz/Browser AI バージョン2.0以降でのみ「1」となります。

※互換のため、Biz/Browser SmartDevice 1.0以降でも「1」となります。

・$SmartDevice

Biz/Browser SmartDevice バージョン1.0以降でのみ「1」となります。

 

rootオブジェクト、root直下のFormオブジェクト

 

起動時にメインウィンドウ(rootオブジェクト)は画面上で最大化はされません。

root直下のFormオブジェクトはrootのサイズと連動しません。またX,Yプロパティに0以外の値を指定した場合無視されます。

 

Windowsタブレット版固有の機能として、root.Widthプロパティへ32767を設定することによりフルスクリーンモードとウィンドウモードの切り替えが可能です。

 

文字列の扱いについて

 

StringオブジェクトにはUnicode文字が格納され、文字数や処理単位はUnicode1文字単位となります。

CRS内における文字コードの変換規則は下記のとおりです。

---CRSファイル---

◇CRS解析時は、HTTPレスポンスヘッダのContent-Typeにcharsetが指定されていた場合その文字コードの文字列として扱います。また、BOMがある場合はBOMに従い、そうでない場合はShift-JISとなります。

 

---Stringクラス---

◇文字数は、UTF-16の数え方と同様です。

 

---入出力関連---

◇ByteArrayクラスオブジェクトにセットした文字列はUTF-8として扱います。

 

◇Fileクラス, Securityパッケージにおける入出力では、UTF-8として扱います。

・DecryptorクラスDecryptStringメソッドの第二引数のpass(パスワード)はUTF-8として扱われます。

・EncryptorクラスEncryptStringメソッドの第二引数のpass(パスワード)はUTF-8として扱われます。

 

◇HTTPパッケージにおける入出力

・httpRequestのメソッドで指定される文字列はUTF-8として扱います。

・httpResponseクラスのオブジェクトのレスポンスデータはByteArrayとして扱います。

・httpResponseクラスのReadLineメソッドではUTF-8として扱われます。ただし、HTTPレスポンスヘッダのContent-Typeにcharsetが指定されていた場合その文字コードの文字列として扱います。

 

◇XMLパッケージにおける入出力

・XmlDOMImplementationクラスのParse、LoadメソッドではUTF-8として扱われます

・XmlDocumentクラスのSaveメソッドでは第二引数で指定されたエンコードに従います。

(デフォルト:UTF-8)

 

◇CSVパッケージにおける入出力

・CSVDocumentクラスのParseメソッド、Loadメソッド、SaveメソッドではUTF-8として扱われます。

・CSVDocumentクラスのGetメソッドではUTF-8として扱われます。ただし、HTTPレスポンスヘッダのContent-Typeにcharsetが指定されていた場合その文字コードの文字列として扱います。

 

 

Edit系オブジェクトのMaxLengthプロパティ

 

Windowタブレット版ではMaxLengthプロパティはBiz/Browser XE/Vシリーズと異なり文字数(Unicode単位) で統一されています。

 

IMEModeについて

 

IMEモードを指定した場合のSIP(Software Input Panel)の状態につきましては各クラスのIMEModeプロパティを参照してください。

また、SIP(Software Input Panel)の表示内容についてはSIPModeプロパティを参照して下さい。

 

フォントの扱いと表示について

 

端末内蔵の標準フォントの違いにより、Biz/Browser VやBiz/Browser Mobile、Biz/Browser SmartDeviceの他のプラットフォームと比較して行間や文字幅が異なることがあります。

そのため、文字列が表示領域に収まらなかった場合の表示や、ワードラップ処理の結果が異なることがあります。

 

キーボード入力について

 

KeyDownイベントは発生しません。

また、NextTabKeyプロパティ、PrevTabKeyプロパティなど、キー操作によるフォーカス制御はできません。

 

FileSystemクラスについて

 

Windowsタブレット版でのプライベートルート、パブリックルートのパスはFileSystemクラスのページを参照して下さい。

 

パスの区切り文字は"\"、"/"どちらでも動作します。

 

独自のシステムプロパティ

 

プロパティ名

説明

String MODELNAME

 

Windowsのログインユーザー名が取得できます。

String PLATFORM

 

OSプロパティと同値です。

String DEVICEID

 

初回実行時にユーザー単位で自動的にユニークなIDを生成します。
一度生成されたIDは永続的に保持されます。

 

 

スケーリング設定画面について

Biz/Browser SmartDeviceでは開発やデバッグを容易にするための補助機能として、画面の表示倍率やスクロールバーサイズをスクリプトを書かずに指定することの出来る「スケーリング設定画面」を用意しています。

 

スケーリング設定画面で設定すると端末内で実行するすべてのCRSプログラムに一律で反映します。

アプリケーションシステムとして個々の画面でのスケーリング設定を行う場合には、下記のスケール関連設定をCRSスクリプトに記述して行なってください。

機能

対応するプロパティ

表示倍率設定

Form.HorizontalScale

Form.VerticalScale

Form.FontScale

 

「スケーリング設定」画面 各項目

 

□スケール値を上書きする

チェックをつけた状態で[OK]ボタンを押下すると各倍率を反映して表示します。

チェックを外した状態で[OK]ボタンを押下すると各倍率を「1.0」に戻します。

□水平方向倍率

水平方向(X, Width等)の表示倍率を指定します。

□垂直方向倍率

垂直方向(Y, Height等)の表示倍率を指定します。

□フォント倍率

フォントの表示倍率を変更します。

□[フォームにフィット]ボタン

「デフォルトのスケール値を上書きする」にチェックが入った状態で有効になります。

押下すると、Root直下のFormが収まる倍率値を自動的に各倍率欄にセットします。[OK]を押下するとセットされた倍率で表示されます。

□[リセット]ボタン

「デフォルトのスケール値を上書きする」にチェックが入った状態で有効になります。

各倍率欄に「1.0」をセットします。[OK]を押下するとセットされた倍率で表示されます。

 

※Formが存在しない、スクリプトが例外などで停止している場合には動作しません。

※スクリプトのスケーリング関連の記述が更新されることはありません。

 



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