XPathパッケージ

XMLで利用するXPathを扱うためのパッケージです。

XPathパッケージはW3C（World Wide Web Consortium）で策定されているDOM（Document Object Model）Level 3 XPath Version1.0の一部の機能を除いたサブセットです。

クラス

名前	説明	Version
名前	説明	PC	Mobile	AI
XPathEvaluator	XPathの各オブジェクトを生成するクラスです	4.0.0	-	-
XPathException	XPathパッケージで発生する例外です	4.0.0	-	-
XPathExpression	XPathの構文解析を行います	4.0.0	-	-
XPathNSResolver	XPathの評価で名前空間のプレフィックスを解決するためのクラスです	4.0.0	-	-
XPathResult	XPathの結果を保持します	4.0.0	-	-

W3C DOM Level3 XPathについて

W3Cにより公開されているDocument Object Model (DOM) Level 3 XPath Specification Version 1.0は、Biz/Browser ver4.0.0のリリース時点（2003年8月）でCandidate Recommendationです。

今後も、W3Cにより仕様策定が続けられますが、Biz/Browser ver3.0に組み込まれている機能については、既に概ね仕様が確定している部分に止めているため、大きな変更は受けないと推定されます。

サポートされないオブジェクト

W3C DOM Level3 XPathに含まれる以下のオブジェクトは、Biz/Browserではサポート外となり利用することはできません。

XPathNamespaceインターフェース

XPath構文(Expression) の互換性について

利用できるXPath構文は、W3Cにより勧告されているXML Path Language (XPath) Version 1.0 W3C Recommendation 16 November 1999の文書に以下の点を除き準拠しています。

1. 数値はすべて符号付整数で表現されます。

2. 名前空間の解決で相対パスを考慮しません。

3. 名前空間の解決でXPathResolverが解決可能なデフォルトネームスペースのみ参照します。通常は、DocumentElementで定義されたデフォルトネームスペースです。コンテキストノードに応じたデフォルトネームスペースを扱うことはできません。

4. XPathNamespaceインタフェースを利用する操作は、アトリビュート操作に代替されます。また、結果としてXPathNamespaceオブジェクトが選択される局面では、XmlAttrオブジェクトで代替されます。

5. XPathの評価結果は常にORDERED_NODE_SNAPSHOT_TYPEです。数値や文字列、イテレータなど他の型を指定した場合、ORDERD_NODE_SNAPSHOTから変換された結果が返されます。

Biz/Browserでは、ver3.0よりXmlNode.SelectNodes、XmlNode.SelectSingleNodeメソッドで簡易的にXPath構文のサブセットを利用してNodeを検索することができましたが、ver4.0.0より拡張されたXPathパッケージのXPath構文とは互換性がありません。利用する際には挙動のちがいに注意してください。

典型的な利用方法

XPathパッケージは、XPathEvaluatorクラスのスタティックメソッドにより、XPathNSResolverオブジェクト、XPathExpressionオブジェクトを生成し、XPathExpression.EvauateメソッドによりXPath構文を評価し、XPathResultオブジェクトで結果を受け取ります。

/* XML文書をダウンロードします*/

var session = getHttpSession();

var response = session.Get("data.xml");

/* DOMツリーを作成します */

var domImpl = new XmlDOMImplementation;

var dom = domImpl.Load(response);

/* XPathによる検索を準備します*/

var resolver = XPathEvaluator.CreateNSResolver(dom);

var expression = XPathEvaluator.CreateExpression("//x", resolver);

/* 検索を実行します */

var result = expression.Evaluate(dom.documentElement, XPathResult.ORDERED_NODE_SNAPSHOT_TYPE);

/* 検索結果を確認します */

var len = result.SnapshotLength;

for (var i = 0; i < len; i++) {

    var node = result.SnapshotItem(i);

    print("No " + str(i + 1) + ": " + node.xml, "\n");

----- 実行結果 -----

No 1: <x name="x1">

No 2: <x name="x2">

No 3: <x name="x3">

No 4: <x name="x4">

No 5: <x name="x5">

XPath構文例

child::para

para

コンテキストノードの子からparaノードを選択します。

child::*

コンテキストノードの子ノード全てを選択します。

child::text()

text()

コンテキストノードの子ノードの内、空でないtextノードを全て選択します。

child::node()

node()

コンテキストノードの子ノード全てを選択します。

attribute::name

@name

コンテキストノードのnameアトリビュートを選択します。

attribute::*

コンテキストノードの全てのアトリビュートを選択します。

descendant::para

コンテキストノードの子孫から全てのparaノードを選択します。

ancestor::div

コンテキストノードの先祖から全てのdivノードを選択します。

ancestor-or-self::div

コンテキストノードとその先祖から全てのdivノードを選択します。

descendant-or-self::para

コンテキストノードとその子孫から全てのparaノードを選択します。

self::para

コンテキストノードがparaの場合コンテキストノードを選択します。

child::chapter/descendant::para

chapter//para

コンテキストノードの子chapterノードの子孫から全てのparaノードを選択します。

child::*/child::para

*/para

コンテキストノードの孫ノードから全てのparaノードを選択します。

先頭に指定された場合、ドキュメントルートを選択します。

/descendant::para

ドキュメント内の全てのparaノードを選択します。

/descendant::olist/child::item

ドキュメント内のolistノードの子からitemノードを全て選択します。

child::para[position()=1]

para[1]

コンテキストノードの子ノードから先頭のparaノードを選択します。

child::para[position()=last()]

para[last()]

コンテキストノードの子ノードから最後のparaノードを選択します。

child::para[position()=last()-1]

para[last()-1]

コンテキストノードの子ノードから最後から2番目のparaノードを選択します。

child::para[position()>1]

コンテキストノードの子ノードから2番目以降のparaノードを全てを選択します。

following-sibling::chapter[position()=1]

コンテキストノードに後続する兄弟から最初のchapterノードを選択します。

preceding-sibling::chapter[position()=1]

コンテキストノードに先行する兄弟から先頭のchapterノードを選択します。

/descendant::figure[position()=42]

ドキュメント内の全てのfigureノードから42番目のノードを選択します。

/child::doc/child::chapter[position()=5]/child::section[position()=2]

/doc/chapter[5]/section[2]

ドキュメントエレメントdocの子から5番目のchapterの2番目のsectionノードを選択します。

child::para[attribute::type="warning"]

para[@type="warning"]

コンテキストノードの子からtypeアトリビュートに"warning"を持つすべてのparaノードを選択します。

child::para[attribute::type="warning"][position()=5]

para[@type='warning'][5]

コンテキストノードの子からtypeアトリビュートに"warning"を持つ5番目のparaノードを選択します。

child::para[position()=5][attribute::type="warning"]

para[5][@type="warning"]

コンテキストノードの子から5番目のparaノードのtypeアトリビュートに"warning"を持っていれば選択します。

child::chapter[child::title="Introduction"]

chapter[title="Introduction"]

コンテキストノードの子ノードchapterの内、titleに"Introduction"を持つノードを選択します。

child::chapter[child::title]

chapter[title]

コンテキストノードの子ノードchapterの内、titleノードを子に持つノードを選択します。

child::*[self::chapter or self::appendix]

コンテキストノードの全ての子ノードの内、chapterノードかappendixノードを全てを選択します。

child::*[self::chapter or self::appendix][position()=last()]

コンテキストノードの全ての子ノードの内、chapterノードかappendixノードを持つ、最後のノードを選択します。

/descendant-or-self::node()/child::chapter[position()=2]

//chapter[2]

ドキュメント内の全てのノードの2番目のchapterノードを全て選択します。